例えばですね、こちらを見るとですね、
オバケの本はランキングで4万5千以下ってことがわかります。
コメントも一件しかないし、それもあまり褒めてない。
ぜんぜん売れてるようではありません。

だけど、この本、けっこういい感じで売れてるんですよね。

つまりは、ネットじゃ売れてないけど、
町場(まちば)で売れてるってことらしいのです。
実際、「本屋で子供がしがみついて離れないので、
仕方なく買った」という報告も来ています。

ネットにいる人というのは、
常時ネットを見てる人がほとんどで、
その多くはネット従事者なんじゃないの?
と思ったりもするんですよ。

ネット上で話題になってると、
それは全国規模で広がってることだと思いがちですけど、
ぜんぜん違うかもしれない。

東京都、神奈川県、みたいに、ネット県で話題...
ぐらいに思っておいたほうがいいのかもしれないです。
ま、ようはバランスってことなんですけどね。

10年ほど前、岩井俊雄という男と一緒に
「びっくりマウス」というソフトを作りました。
プレステ2向けのお絵かきソフトで、
宣伝費をいっぱい使ったわりに
大して売れなくてごめんなさい。SCEさん。

さて、それから数年経って、
今度は「Mr. Calpaccio」というアニメ作品を作りまして、
その完成披露上映会を、某映画館でやったわけです。

たくさんお客さんに来ていただいて、
たいへん盛り上がったわけですけれども、
映画館の外でご挨拶なんぞをしておりましたら、
「うるまでるびさんに、ぜひお礼が言いたい」と
おっしゃる男性が現れました。

そして、「実はうちの息子が、当時小学生だったのですが、
自閉症になってしまいまして...。
ところが『びっくりマウス』をやり始めたら、
笑顔を取り戻すようになって、今は普通に中学に通ってます。
本当にありがとうございました。」

と、ちょっと目に涙を浮かべながらおっしゃるのです。

実は「かじり虫」にも「スミ子」にも似たような話はあって、
いい玉を投げとくと、忘れた頃にホームランが帰ってくるなあ...と、
つくづく思うわけです。

いやあ、ものづくりができてよかった。